王子たん

ヒマな時に、オンラインゲームをしている。
友達が、新規のプレイヤー「A」の育成を手伝いはじめた。
Aのために、アイテムを買ってやり、お金稼ぎを手伝い、自分の持っている装備あげた。
Aは「いいんですか、ありがとうございます」とすべてを受け取るが、
対価を支払おう、とか、「悪いですから」「いつもすみません」という態度はまったくみれない。

Aは、ログインするたびに、文句をたれている。
「クエがめんどくさい」
「かわいいコスチュームがほしいけど金がない」
「お金稼ぎは、自分には無理」
「いい武器や防具がない」
「モンスのドロップ品を拾うのがめんどくさい」

そんなAに、友はつきあい、クエストを手伝い、
Ａをになだめ、優しくアドバイスをしてあげているので、
見ているこっちが、切なくなったきた。

「もう、よしなよ」と言いたいが、
友は、ひょっとしたら、人になにかしてあげるのが大好きでやっているのかもしれないので、それも言いにくい。

そのことで考えた。
ゲームとは、別の話になるが、
もしも、幸福の王子がそばにいたら、
私は、ものすごくイライラするだろうな。
なんてことを。

「幸福の王子」とは
王子の像が、自分が身につけている宝石類などの高価なものを
ツバメに頼んで、世の中の貧しい人のところに持って行ってもらい、自分はみすぼらしくなって、しまいには人々によって取り壊されるというお話。

死んだツバメと王子は、楽園で永遠に幸せになるようだが、
そんな結末を知らない状態で、
王子がそばにいたら、見ているこっちは辛すぎる。
王子が、私の大好きな人だったら、
たまらないだろう。
他人のことなんか考えないでええ！
もっと私欲にまみれて生きてくれ！
と思わず願いそうだ。